生活保障

新型コロナの生活資金貸付が始まった

沖縄の社会保険労務士・行政書士・社会福祉士松本です。

令和2年3月25日より、社会福祉協議会で「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた生活福祉資金の貸付制度」の受付が開始されました。

厚生労働省HPより引用

今回は新型コロナウイルス感染症を踏まえた生活福祉資金貸付制度について説明します。

従来の生活福祉資金制度の概要については、以前の記事をご参照ください。

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今回の記事でわかること

  • 生活福祉資金貸付制度特例の対象者
  • 貸付金の上限額はがわかる
  • 総合支援資金ではただ貸付を受けるだけではない
  • 猶予や免除の制度あり
  • 最後は生活保護

新型コロナウイルス感染症の影響に悩んでいる方へ

新型コロナウイルス感染症の影響に悩んでいる方へ

生活福祉資金の実施主体は都道府県社会福祉協議会です。

そして申請受付先は、市町村社会福祉協議会です。

まずはお住いの市町村の社会福祉協議会の場所を検索しましょう。

「市町村名 社会福祉協議会」

で検索できます。

都道府県社会福祉協議会一覧(全国社会福祉協議会HP)

今回特例として実施されるのは「緊急小口資金」の特例貸付です。

休業された方向けの「緊急小口資金」と「総合支援資金(生活支援費)」の特例貸付

休業された方向けの「緊急小口資金」

「緊急小口資金」では、「緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合」に、少額の費用の貸付を 行います。

生活福祉資金貸付制度(厚生労働省HP)

新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で、生活資金でお悩みの皆さまへ(厚生労働省HP)

緊急小口資金の特例貸付対象について

緊急小口資金の貸し付け対象は以下の通り。

  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等により収入が減少したこと
  • 緊急かつ一時的な生計維持のため貸し付けを必要とする世帯

です。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けての所得減少が要件です。

従来の生活福祉資金貸付制度は、市町村民税非課税程度が対象でした。

特例として対象者が拡大されています。

緊急小口資金の貸付上限額は?

緊急小口資金の貸付上限額は、

  • 学校等の休業、個人事業主等の 特例の場合、20万円以内
  • その他の場合、10万円以内

となっています。

従来の生活福祉資金では、緊急小口資金の貸付は上限10万円以内としていたので、貸付上限額が拡大しています。

緊急小口資金の貸付条件は?

緊急小口資金の貸付条件は、

貸付条件

  • 据置期間 ⇒ 1年以内
  • 償還期限 ⇒ 2年以内
  • 貸付利子 ⇒ 無利子
  • 保証人  ⇒ 不要

です。

無利子で保証人不要というのは助かりますね。

総合支援資金(生活支援費)の特例貸し付け対象は

総合支援資金(生活支援費)の貸付対象は、

  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮していること
  • 日常生活の維持が困難となっている世帯
  • 原則として、生活の立て直しに向けた相談支援(自立相談支援機関による)を利用すること

です。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、収入の減少や失業した方などが対象ですね。

そして、従来の生活福祉資金と同じように、

相談支援(自立相談支援機関による)を利用すること

が貸付の要件となっています。

これは相談支援機関のサポートを受けながら、家計の立て直しを図っていくという、生活困窮者自立支援制度の枠組みです。

生活困窮者自立支援制度(厚生労働省HP)

総合支援資金の貸付上限額は?

  • 二人以上 ⇒ 月20万円以内
  • 単身   ⇒ 月15万円以内

となっています。

そして、貸付を「原則3か月以内」の期間受けることができます。

総合支援資金の貸付条件は?

総合支援資金の貸付条件は、

ポイント

  • 据置期間 ⇒ 1年以内
  • 償還期限 ⇒ 10年以内
  • 貸付利子 ⇒ 無利子
  • 保証人  ⇒ 不要

です。

据え置き期間は、従来「6か月以内」となっていましたが、「1年以内」拡大されていますね。

そして、従来の生活福祉資金では、「保証人あり」の場合は「無利子」

「保証人なし」の場合は「年1.5%」となっていましたが、「保証人不要・無利子」へと緩和されております。

返済について

返済について

生活福祉資金貸付制度は、公費いわゆる税金を財源として貸し付けをおこなうものです。

税金と言えども、償還(返済)が必要なのはいうまでもありません。

ただし、公的な貸付制度であるので、大きな災害に被災した、傷病などやむを得ない事情で返済が難しくなった場合などは、返済を待ってもらえたり、免除を申請することが可能です。

今回の特例措置では、返還時になってもなお所得の減少が続いている住民税非課税世帯の場合、返済を免除することができるとアナウンスされています。

利用を検討している方は、今後も生活福祉資金貸付制度の動向に注目です。

都道府県社会福祉協議会のホームページをこまめにチェックし、あるいは問い合わせてみましょう。

貸付の申込先は?

貸付の申込先は?

貸付の申込先は、お住いの市町村の社会福祉協議会です。

貸付申請開始は、

令和2年3月25日(水)

からです。

貸付の申込にあたっては、

  • 本人を確認するための書類(運転免許証等)
  • 世帯の状況を確認するための住民票
  • 収入の減少を確認するために給与明細や預金通帳等

などが必要になります。

事前に市町村社会福祉協議会へ問い合わせたうえで、相談に訪れましょう。

最後の手段は生活保護

最後の手段は生活保護

いかがでしたか。

今回の記事で、

メモ

  • 対象は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたこと
  • 貸付金の上限額は最大20万円(総合支援資金は3か月)
  • 総合支援資金は相談支援の利用が必要
  • 猶予や免除の制度あり

ということがわかりました。

最後に一言。

生活福祉資金は、従来「生活保護の一歩手前」の方が利用することが多い制度でした。

ということは、さらに生活が苦しくなった場合でも「生活保護」という最後の砦が残っています。

生活保護は申請から決定まで、一か月ほどかかる場合が多くすぐに保護を受けるというのがなかなか難しい制度です。

生活福祉資金を活用しても生活が苦しい場合は、生活保護への早めの相談が重要です。

生活保護・国民年金保険料免除については下記の記事を参考してください。

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