こんにちは。社会福祉士の松本です。
今回は介護保険サービス利用の流れについてお話しします。
親が高齢になってきた、または高齢の親がひとり暮らしをしている。
そういったときに活用できるのが「介護保険制度」です。
または従業員から
「親が倒れた、介護が必要になるがどうしたらよいか」
という質問がある日突然でるかもしれません。
そのときに備え、この介護保険制度というのは、どういうものなのかがわかる最初の一歩となります。
介護保険サービスの利用の流れについて知りたい方は必見です!
動画でも作成しておりますので、ご参照ください。
介護保険利用の申請をする
介護認定の申請窓口は基本的には市区町村の介護保険担当課の相談窓口です。
申請は本人のほかその家族でもおこなうことができます。
また、役所の窓口まで行くのが大変だという場合には、
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業者いわゆるケアマネージャー
- 介護保険施設
でも申請の代行をしてもらうことができます。
申請に必要なものは、通常
- 申請書
- 窓口へ来た方の身分証明書
- 介護保険の保険証
- 健康保険の保険証
- 主治医の氏名、医療機関名
などです。
事前に申請窓口に必要なものを確認していくとよいでしょう。
要介護認定を受ける
次に要介護認定の概要についてお話します。
申請を行うと後日訪問調査が行われます。
訪問調査は訪問調査員などが自宅や入院施設を訪問し、心や体の状態、日ごろの生活の様子、申請者の家族の状況や、住宅の環境などについて、聞き取り確認が行われます。
そして、申請のときに主治医の氏名、医療機関名も必要になるとお話しましたが、市町村から主治医あてに意見書の作成依頼がおこなわれ、主治医であるお医者さんの意見書が作成されます。
そのため、主治医には申請前には介護保険の意見書が届くことをひとこと伝えておいた方がいいでしょう。
訪問調査の結果と、主治医の意見書の一部項目をコンピューターに入力し、まず最初の一次判定がなされます。
その後二次判定として介護認定審査会が開かれ、一次判定や主治医の意見書をもとに保健、医療、福祉の専門家がこの申請者にはどれくらいの介護サービスが必要かという、要介護状態区分の認定をおこないます。
原則申請から30日以内に結果が記載された認定結果通知書と介護保険証が送付されます。
ここで訪問調査の際のポイントをお話します。
まず訪問調査の際には、家族も一緒に同席した方が良いということです。
訪問調査では、片足で立っていることができるか、起き上がるときに何かに捕まるのかなど、日常的な動作について聞き取りがおこなわれますが、その際人っていうのは自分ができないことを他人に話するっていうのが、なんだか恥ずかしいと思うようで「大丈夫です、できます」って答えてしまいますよね。
認知症がある方も「できないことをできる」ということがありますよね。
日ごろ介護が必要な状態であることを正確に伝えるためには、家族が同席して本人の様子を正確に伝えるようにしたほうがいいです。
ただ、介護度を重くしたいと考えてなんでもかんでも「できない」と答えるのはまた正確な実態を反映できませんのでよくありません。
実態をありのままに伝えるようにしてください。
また、介護を要する状態というのは日中だけではないので、夜間の様子などもあわせて伝えましょう。
同席した家族の方からも、どういうところで困っているのか、を調査員に説明しましょう。
当日になって、日ごろ困っていることが思い出せない、ということも多々ありますので、訪問調査の前には、訪問調査員に伝えたいことを事前にメモして準備しておくと良いでしょう。
以上が訪問調査におけるポイントです。
要介護認定の結果の通知とその後
介護認定審査会の結果、介護が必要と判断された場合は、要介護1から5と要支援1と2の要介護度が認定されます。
要介護1から5と認定された方はケアマネージャーに相談してケアプランを作成してもらい「介護サービス」を利用できます。
要支援1または2と認定された方は地域包括支援センターでケアプランを作成してもらい、「介護予防サービス」と「介護予防・生活支援サービス事業」を利用できます。
介護サービスと介護予防サービスは何が違うのかというと利用できるサービスが異なってきます。
例えば、訪問介護いわゆるホームヘルパーの利用は「介護サービス」となり要介護の認定を受けた方が利用できます。
通所介護、いわゆるデイサービスも要介護の認定が対象です。
通所リハビリは介護予防サービスでも対象です。
ただ要支援のかたでも、介護予防・生活支援サービス事業の部分で訪問介護や通所介護を利用できますので、介護サービスと介護予防サービスでは利用できるサービスに違いはありますが、ケアプラン作成の際によく相談しましょう。
また介護認定審査で「介護非該当」と認定された場合、「自立」という判断ですが、将来介護が必要な状態になるのを少しでも予防する事と日常生活の支援のため、チェックリストに基づいて、
・介護予防・生活支援サービス事業
・一般介護予防事業
などの介護予防の事業を利用することができます。
負担割合と支給限度額について
介護保険は原則自己負担が発生します。
利用者の所得の金額により、自己負担額が1割、2割または3割になります。
初めて要介護認定を受けた時と、毎年7月上旬に送付される「介護保険負担割合証」に負担割合の記載がありますので、ご自分の負担割合を確認しておきましょう。
支給限度額内でサービスを利用する場合は、自己負担は1割から3割です。
例えば、要介護5の方の支給限度額はおおよそ36万円になりますが、自己負担が1割の方がサービスを利用した場合の負担額の上限はおよそ36000円、自己負担2割だと72000円、自己負担3割だと10万8千円くらいです。
要支援1の場合は支給限度額が5万円ほどですので、自己負担1割だとおよそ5千円、自己負担2割だとおよそ1万円3割だとおよそ1万5千円です。
そのほか負担割合部分以外にも入所施設の場合は食費や居住費もかかりますし、自己負担限度額を超えた分は、全額が自己負担となります。
自己負担額が高額となってしまった場合は、高額介護(予防)サービス費の支給があります。
また高齢になると医療費の負担も増えてきますよね。
介護保険と医療費の両方の自己負担額が高額となってしまった場合は、高額医療・介護合算制度という決められた上限を超えた分が後から支給されるという制度があります。
高額介護サービス費、高額医療・介護合算制度の対象者には申請書が送付されますので、介護の利用額が多いと感じる方は申請書が送付されてきたときは、忘れずに申請しましょう。
その他お住いの市町村によっては、利用者の負担軽減のため費用を助成する制度があったりするので、介護費用の負担が重いと感じる方はお住いの市町村窓口に相談してみましょう。
まとめ
いかがでしたか。
申請について、その窓口は
・市区町村役場の介護保険担当課
・地域包括支援センター
・居宅介護支援事業者いわゆるケアマネージャー
・介護保険施設
がありました。
申請に必要な書類は、通常
・申請書
・窓口へ来た方の身分証明書
・介護保険の保険証
・健康保険の保険証
・主治医の氏名、医療機関名
などでした。
申請後、
・訪問調査
・主治医の意見書
・コンピューターによる一次認定
・介護認定審査会での二次判定
をふまえて要介護度の認定がなされました。
主治医の先生にはひとこと「介護保険を申請するので意見書の記入をよろしくお願いします」と伝えておくと主治医も準備できますね。
また訪問調査では家族が可能な限り同席して、日ごろの本人の様子をきちんと伝えて、できないことはできない、家族が困っていることなどを、しっかり調査員に伝えましょう。
状況をもれなく伝えるためには、事前に伝えたいことをメモにまとめておくといいですね。
本人や家族の意見を伝えることができるのが訪問調査です。
介護認定は
・要介護
・要支援
・非該当(自立)
の3つがありました。
それぞれ認定された区分で利用できるサービスがありますので、ケアプランを作成するときにどのようなサービスを利用できるのか確認しておきましょう。
自己負担額も利用者の所得金額によって、1割負担、2割負担、3割負担とわかれてきます。
また利用の上限額も要支援1から要介護5まで決まっています。
介護度が重いほど上限額があがっていきます。
自己負担額が高額となってしまった場合は、
・高額介護サービス費
・高額医療・介護合算制度
という上限額を超えた分の支給がされる制度がありますので、申請書が送付されてきたかたは忘れずに申請してください。
本日も最後までご覧いただき、ありがとうございました。