働くこと 労働トラブル

新型コロナウィルスと内定取り消し問題とぶれない生き方

こんにちは。

沖縄の社会保険労務士・行政書士・社会福祉士松本です。

新型コロナウィルスが猛威を振るっています。

そんななか気になるニュースが出てきました。

内定取り消し防止、最大限の努力を 政府要請

政府は13日、新型コロナウイルス感染拡大による影響で4月に入社予定の学生の内定取り消しを防ぐため、経済界に「最大限の経営努力」を要請した。就職活動中の学生には、エントリーシートの提出期限の延長やインターネットを活用した説明会・選考の実施などで配慮を求めた。感染拡大防止の観点から、企業説明会の中止が相次いでいることが背景にある。

2020年3月14日日経電子版より引用

そうなんです。

13日の日経平均株価は記録的な下落幅となり、一時期17,000円を下回りました。

一気に経済停滞のムードが持ち上がり、企業が採用に慎重になってきた雰囲気が漂い始めたのです。

特に、観光業は厳しい状況です。

私の知人の添乗員も「現状は大変厳しい」と話していました。

再度の就職氷河期時代がやってきてしまうのか。

今のうちに内定の法的効力をおさらいして、会社に左右されない生き方「ぶれない生き方」の考えをお伝えしようと思います。

私の結論はズバリ「就職がうまくいかなかったら、若いうちから士業として将来の独立を見据えた方がよい」です。

この記事でわかること

  • 内定の法的効力
  • 内定が取り消しできるとき
  • 独立自尊で生きていく力強さ

内定の法的効力とは?

内定通知

内定の持つ法的意味

内定はある程度の効力を持った一種の労働契約です。

専門用語でいうと「始期付解約権留保付労働契約」といいます。

簡単に言うと、就労の開始の時期と内定を解約できる権利の2つの条件がくっついている労働契約と言えばいいでしょうか。

採用を内定した際の企業(雇う側)と、雇われる人(例えば新卒の学生)との間で結ばれる「契約」の1つです。

就労始期付解約権留保付労働契約の「就労始期付」は、仕事のスタート時期の指定が労働条件になっていること。

例えば、新卒の大学生なら、卒業後の4月1日を就業開始日とする場合が多いですよね。

「解約権留保付」とは、仕事スタートまでの間、企業側は雇われる人との労働契約をを解約する権利を留保する(解約権を持っておく)ことが契約条件に入っていることです。

就労始期付解約権留保付労働契約では、雇われる人(新卒学生)は仕事スタートの日より前の日であっても「労働契約を結んだ従業員」としてみなされます。

そのため、就労始期付解約権留保付労働契約の解除は従業員の解雇と同等になると考えられます。

内定を取り消せる場合とは?

先ほど述べたように、「内定」と言っても、その性質は「労働契約」です。

では「内定取り消し」という言葉が世間でまかりとおっているのはなぜでしょうか。

まず解雇について考えてみたいと思います。

解雇は会社側の一方的な労働契約の破棄です。

しかし、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として認められるもの」でないと解雇は認められません。

簡単にいうと、「筋の通った理由(合理的理由)があって、誰もが納得する(社会通年上相当)」ものでないと認められない、と言えば理解しやすいでしょうか。

具体的な例としては、

  • 新卒者が卒業できなかった
  • 虚偽の履歴書を記載していた
  • 入社前に大けがをして入社できなかった

などでしょうか。

しかし、企業によっては内定通知書や入社承諾書の中に「経済情勢の悪化により会社の業績が悪化した場合」を採用内定取り消し事由として挙げている場合もあります。

ただ、景気の悪化は採用内定者にはなんの責任もなく、一方的に取り消しとなるのは学生さんも合点がいかない所も大きいと思います。

「先行き不安だから取り消し」というのは、裁判などで争った場合有効と認められるかどうかは。正直厳しいのかな思います。

会社の業績が大打撃を受けて大規模なリストラを実行せざるを得ないとか、誰が見てもこれはやむを得ないよね、という理由がないと、内定取り消しをそのまま認めるというのは考えにくいです。

だからといって、学生側は泣き寝入りかというとそうではありません。

「入社できる」という期待もあっただけに、その期待が一方的に侵害された場合は、慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。

損害賠償など裁判で争う場合は、弁護士の先生との相談になります。

いずれにしても、企業側の安易な内定取り消しは解雇とほぼ同等と考え、それ相当の理由があることが必要です。

採用内定時と事情が変わったのであれば、解雇を回避する努力がまずは求められるでしょう。

将来の独立を見越して考えよう

独立

私自身も前職は公務員で雇われ(正確にいえば雇用契約ではありませんが)の身でした。

しかし、「このまま60歳の定年まで今の仕事続けるかどうしようか・・・」と考えたとき、人生100年時代を見越して70歳までは現役でできる仕事をしよう、80歳までは社会貢献に全力を尽くそうと思い、士業として40歳で独立開業しました。

不景気に左右されない公務員という安定した身分を続ける道もあったと思いますが、独立開業したことで自分のが努力が収入に跳ね返るやりがい、仕事と家庭の両立についてうまくバランスをとることができるようになったと思います。

今回フリーランスの生活保障が不足していることが問題になっていますが、一つの技術や得意分野一本で独立するよりはマルチチャンネルなフリーランスを目指した方が、何にも振り回されない仕事ができると感じています。

将来士業での独立開業を考えるなら、その士業事務所の補助社員として働き、実務経験を積んで資格試験に合格し、独立開業することも夢ではありません。

AIが進化しデジタル化が進めば士業は斜陽産業という見方もあります。

しかし、士業のお客さんはあくまでも「人」です。

「人」がいる限り仕事がなくなることはありません。

そして各士業が新しい分野の業務をどんどん開拓してきています。

行政書士の許認可業務や社会保険労務士の手続き業務だってデジタル化が進んでもそれを助言する専門家が必要です。

遺言相続、労働問題など、人との関りを避けられない業務も、最終的には話し合いや協議といったデジタルにはなじまない高度な専門対応が求められます。

そして士業の仕事は若いうちから、早いうちから取り組んでいることが絶対的有利だなと中途開業の私は感じています。

40歳で転職独立開業するのと、20年近く現場で士業実務経験をして活躍した40歳とでは実力の差は歴然です。

日本の将来

現在の政府は多様な働き方を推進していく方針です。

今回の新型コロナウィルス感染症問題でフリーランスに逆風が吹いたことで、今後独立開業者に対して何らかのサポート体制が実してくる可能性があると私は思います。
(保険的なものだと思いますが)

独立開業は、士業だけではなく「起業」でもいいのです。

福祉の世界で言えば、どこかの企業に所属して相談員として仕事をするより、デイサービスや保育所などを法人を起業して経営者になる方がよっぽど収入があってみな楽しそうです。

若い人はどんどんチャレンジして、少子高齢化なんて ふっ飛ばしてもらいたいですね。

まとめ

まとめ

いかがでしたか。

内定取り消しから始まり、最後は自分の思いをただ伝えるだけになってしまいましたが。

言いたいことは次の通り。

この記事でわかったこと

  • 内定の法的効力は「始期付解約留保権付労働契約」であり労働契約の一種であることがわかった
  • 内定の取り消しは解雇とほぼ同等であり相当の理由が必要である
  • 将来を見据え何ものにも振り回されない生き方を目指すのがおすすめ

でした。

私は、資格の勉強は、続けることができればいつかは花が咲くものだ、と思っています。

継続は力なり、何事も続ける人が最後は立ち続けているのです。

さぁ、コロナを吹き飛ばしてやりましょうよ!

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