こんにちは。社会福祉士の松本です。
今回は介護保険制度の仕組みについてお話しします。
親が高齢になってきた、または高齢の親がひとり暮らしをしている。
そういったときに活用できるのが「介護保険制度」です。
または従業員から
「親が倒れた、介護が必要になるがどうしたらよいか」
という質問がある日突然でるかもしれません。
そのときに備え、この介護保険制度というのは、どういうものなのかがわかる最初の一歩となります。
介護保険について知りたい方は必見です!
介護保険制度とは?
「介護保険制度」は、基本的には65歳以上の高齢者が地域でも安心して生活できるように、社会のみんなで支える社会保険制度です。
原則65歳以上の方からの利用となりますが、特定の病気が原因となれば40歳以上からでも利用が可能です。
40歳以上になると介護保険料が給与などから天引きされるようになっています。
この保険料や税金を財源としているので、利用者は介護費用の一部を負担することで、様々な介護サービスを利用できます。
介護保険制度の目的は、介護が必要になった状態でも高齢者のかたがたが
「自分が住み慣れた地域で安心して暮らしていけるような地域社会を目指すこと」
を一番の目的としています。
高齢者が地域で自立した生活を送れるように支援することを目指しているんですね。
そのため、すぐに施設入所というよりは、
「地域で生活できるような仕組みをつくっていく」
ということをまずは考えるといいですね。
介護保険制度は、2002年にスタートした介護の社会保険制度です。
病院などの医療保険制度と異なり、介護保険制度の主な運営主体は市町村が行っています。
それでは、それぞれの介護険制度の仕組みに出てくる関係者の役割を見てみましょう。
介護保険制度の関係者
まず運営主体の市町村です。
市町村は保険者と呼ばれ、その主な役割は、
- 介護保険料の算定・徴収
- 介護保険証の交付
- 介護認定の申請をうけて要介護度を認定
- 介護保険給付
等を行っています。
次に関わる機関は、介護サービスや介護予防サービスの提供事業者です。
これは介護保険制度の指定を受けた社会福祉法人や医療法人、株式会社、合同会社などの民間企業、NPOなどの非営利組織が行っています。
デイサービスやデイケア、ホームヘルパーの事業所など、地域にある民間の事業所のことをいいます。
ただし、これらの事業所に直接申し込むだけでは、介護保険制度を利用できません。
介護保険制度を利用するためには、ケアマネージャーと呼ばれる専門家の方にケアプランを立ててもらう必要があります。
ケアマネージャーの役割としては、
- 利用者の希望や体の状態、心の状態について詳しくヒアリングを行い
- この利用者がサービスをきちんと利用できるように支援する
役割を担います。
ケアマネジャーが行う業務は、
- ケアプランの作成
- 介護サービス事業者との連絡調整
- 要介護認定の申請の代行
- サービスの再評価やサービス計画の見直し
等です。
ケアマネジャーの名称は、介護支援専門員と言って、先ほど述べた介護サービスや介護予防サービス提供事業者とは異なり、居宅介護支援事業者と言う部類に属しています。
基本的にケアマネージャーは、サービス提供事業者からは独立しており、利用者の立場に立ったケアプランを立てることが求められています。
そしてケアマネジャーと同じように地域の相談窓口として、
「地域包括支援センター」
が相談拠点として各地に整備されています。
地域包括支援センターは、高齢者が住んでいる地域の総合的な相談窓口機能を持った施設です。
地域包括支援センターでは、高齢者やその家族、地域の住民の方からの介護や福祉に関する相談対応を行ったり、支援を行います。
先ほどケアマネジャーがケアプランの作成をおこなうと説明しましたが、地域包括支援センターでは、介護の一歩手前の人たちが利用する介護予防のケアプランを作成する、あるいは介護予防事業のマネジメントを行うことも役割とされています。
そしてもう一つセンターの大事な役割が、高齢者に対する虐待の防止やその他の権利擁護事業の相談です。
これまで説明した保険者である市町村、そしてデイサービスやデイケア、ホームヘルパー事業所などの、介護サービス・介護予防サービスの提供事業者、そしてそれらを利用するためのプランを立ててくれるケアマネジャー、そして皆さんの住んでいる地域に拠点を置いて活動している地域包括支援センター、このようなさまざまな行政や事業者が一体となって、高齢者の方々がいつまでも住み慣れた自分の地域で生活できるように支えている。
それが、「介護保険制度」です。
介護保険を利用できる人とは?
次に介護保険制度を利用できる方について、説明します。
65歳以上の「第1号被保険者」
最初にも述べましたが、介護保険制度が利用できるのは原則65歳以上、特定の病気が原因であれば40歳以上の方々です
そのため65歳以上の方を第1号被保険者といいます。
この65歳以上の方で介護保険を利用できる方というのは、すぐ明日から誰でも利用できると言うわけではなく、「要介護認定」と言う介護や支援がどれぐらい必要かという認定を受ける必要があります。
65歳であれば、介護が必要になった原因を問わず介護保険制度を利用することができます。
40歳以上65歳未満の「第2号被保険者」
この40歳から64歳の方については、第2号被保険者と呼ばれています。
この第2号被保険者の方はだれでも、介護保険制度が利用できるわけではなく、介護保険の対象となるある特定の病気が原因となって、介護が必要な状態になったという「要介護認定」を受けた方が対象となっています。
病気が原因ですので、交通事故などの原因で介護が必要となったと言う場合には、介護保険制度の対象とはなりません。
では40歳から64歳の方、第2号被保険者の方が介護保険制度を利用できるようになる対象の病気にはどういったものがあるのでしょうか。
これは介護保険制度の対象となる病気は「特定疾病」と呼ばれ、16種類の病気が指定されています。
一例をあげますと、
- がん
- 関節リウマチ
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- パーキンソン病
- 脳血管疾患
などの16の病気が指定されています。
特に40歳からはガンになる確率も上がってきますが、このガンもガンになればすぐに介護保険制度が利用できるわけではなく、医師が一般的に認められている医学的な知見に基づいて回復する見込みない状態に至ったものと判断されたものに限られてきます。
詳しくはお住まいの市町村や地域包括支援センター、あるいは主治医の先生、病院の医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。
介護保険証について
介護保険制度を利用する場合には、介護保険証が必要になると先に説明しました。
介護保険証というのは、国民健康保険証のように保険証が作成されます。
基本的に65歳以上の方については65歳になって翌月に交付されます。
40歳から64歳の方第2号被保険者については、介護認定を受けた方に限り交付されます。
この保険証には、被保険者の番号や住所、氏名、生年月日が書かれています。
介護認定を申請するとき、更新する時、ケアプランを作成する時、介護保険サービス利用する時などに被保険者番号が必要になるので、なくさないように大切に保管しておきましょう
また、介護保険制度の特徴として、介護が必要な度合いによって要介護認定がされますが、この介護度に応じて利用できる介護サービスの支給限度額が変わってきます。
介護保険制度は、原則利用したサービスの1割が自己負担となります。
しかし、収入によっては2割や3割を負担することがあり、このご自身の介護保険の負担割合を示すものが「介護保険負担割合証」と呼ばれています。
この負担割合証は1年間の有効期間があって、毎年8月1日から翌年の7月31日が有効期限です。
前年の所得が確認され7月の上旬ごろに郵送されるようになっています。
まとめ
今回は介護保険制度の仕組みについて説明しました。
この介護保険制度に出てくる関係機関としては、
- 市町村などの行政機関
- 介護サービスを提供する介護サービス提供事業者
- ケアプランを立ててくれるケアマネジャー
- 地域の相談拠点となっている地域包括支援センター
がありました。
また介護保険を利用できるの原則65歳以上の方になりまして、第1号被保険者と呼ばれます。
40歳から64歳の方については第2号被保険者と呼ばれ、特定の16種類の病気の結果、介護認定を受ける必要がある方に限り、介護保険制度の対象となることがわかりました。
そして介護保険制度にも健康保険等と同じように保険証が交付されます。
65歳以上の方は基本的に65歳になった翌月から市町村から交付。
40歳から64歳の第2号被保険者については特定疾病の状態になって申請をして介護認定を受けた方に限り市町村から交付されます。
この保険証に書かれている被保険者番号や、住所、氏名、生年月日というのは申請や更新の際にも必要な情報となります。
なくさないように大切に保管しておきましょう。
また、要介護認定を受けた場合には、自己負担割合が1割から3割と所得や収入によって変わってきます。
この介護保険の負担割合を示した負担割合証が交付されます。
負担割合証については、
有効期限が1年間で8月から翌年の7月まで
そして前年の所得の結果毎年7月上旬ごろに市町村から更新後の割合証が送付されます。
こちらも介護保険の己負担額がわかる大切な書類ですので、なくさないようにしてください。
このように市町村を中心に運営されているが介護保険制度です。
まずはお住まいの市町村、あるいは地域の相談窓口である地域包括支援センターに相談してみてくださいね。
本日も最後までご覧いただきありがとうございました。