こんにちは、沖縄の社会保険労務士・行政書士・社会福祉士・FP松本崇です。
まだまだ猛威を振るい予断を許さない新型コロナウイルス感染症。
休業や売り上げ減など、その影響は続いています。
新型コロナウィルス感染症で生活が苦しくなった方もまだまだ増えています。
そこで個人の生活を守るための制度2022年9月現在をまとめてみます。
今回紹介するのは生活資金や事業資金に困っている個人向けの支援策です。
新型コロナウィルス感染症で生活が困窮する心配がある方は必見です。
緊急小口資金・総合支援資金(生活費)
各都道府県社会福祉協議会では、新型コロナ感染症の影響による休業や失業等により生活資金でお悩みの方々へ特例貸付を実施しています。
緊急小口資金(一時的な資金が必要な方[主に休業された方])
緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に少額の費用の貸付を行う制度です。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても対象 |
貸付上限 | 20万円以内 |
据置期間 | 1年以内 |
償還期限 | 2年以内 |
貸付利子・保証人 | 無利子・不要 |
非常に使いやすい制度です。
貸付決定までの期間もスピーディー。
貸付上限額は20万円以内と小額ですが、緊急的な一時資金です。
こちらで一時をしのぎ、次の総合支援資金を活用するようなイメージです。
据置期間1年間というのは、返済開始まで1年間待ってくれるということです。
償還期限2年以内というのは、返済計画を2年以内の期間で検討してもらえるということです。
貸付利子が無利子というのが国が行っている貸付制度のすごいところ。
保証人も不要なので、単独で貸付を受けることができます。
総合支援資金(生活の立て直しが必要な方[主に失業された方等])
生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行う制度です。
先ほどの緊急小口資金よりも金額、貸付期間が大きくなっています。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯 ※新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、失業状態になくても対象となります。 |
貸付上限額 | (2人以上)月20万円以内 (貸付期間:原則3か月以内) (単身) 月15万円以内 |
据置期間 | 1年以内 |
償還期間 | 10年以内 |
貸付利子 | 無利子・不要 |
貸付手続きの流れ
まずはお住いの市町村の社会福祉協議会へ相談しましょう。
市町村社会福祉協議会で申し込みが行われると、都道府県社会福祉協議会で審査が行われ貸付決定・送金が行われます。
生活福祉資金の貸し付けについては、特例として「なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」こととなりました。
これは必ず返済免除になるというわけではありませんが、返済が難しい場合はまずは社会福祉協議会へ相談してみましょう。
新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金
緊急小口資金等の特例貸付を利用できない一定の世帯に対しては、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」を支給する制度があります。
新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金
対象者 | 緊急小口資金等の特例貸付(※)を利用できない世帯で、以下の要件を満たす方
(※) (1) 収入要件 |
支給額 | 単身世帯:6万円、2人世帯:8万円、3人以上世帯:10万円 ※ 住居確保給付金、ひとり親世帯臨時特別給付金、低所得子育て世帯生活支援特別給付金との併給が可能。 |
支給期間 | 申請月から3か月 ※新型コロナウイルス生活困窮者自立支援金の支給が終了した方に対し、3か月間の再支給を可能とする。 (申請受付は令和4年12月末まで) |
申請先 | お住いの自治体ホームページを確認 |
新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金は、対象者が総合支援資金を利用した世帯、不承認となった世帯等が対象です。
生活困窮者自立支援制度が、相談員が寄り添いながら「生活の自立を支援する」という趣旨があるため、ハローワーク等での求職活動が要件となっております。
ということは、働ける方が対象となり、病気療養中など就職活動ができない事情がある場合は利用ができなくなっております。
日本政策金融公庫(日本公庫)及び沖縄振興開発金融公庫(沖縄公庫)等による新型コロナウイルス感染症特別貸付等
新型コロナウイルス感染症による影響により業況が悪化した事業性のあるフリーランスを含む個人事業主等に対し、日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫にて実質無利子・無担保で融資を行っています。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」と「特別利子補給制度」の併用が可能で実質的な無利子の融資となります。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症による影響を受け、一時的な業績悪化(最近1ヵ月の売上高又は過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む。)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期比5%以上減少した等)となった事業者(事業性のあるフリーランスを含む。)に対し、信用力や担保に依らず一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施
というように、融資ですので個人の生活費を借りるのとは違い、要件のハードルが上がります。
資金の使いみちは、運転資金・設備資金であること。
いずれも新型コロナウイルス感染症の影響により必要となる資金に限られます。
担保は無担保。
貸付期間は、設備20年以内、運転20年以内。うち据置期間は5年以内で設定されます。
融資限度額(別枠)は、中小事業・商工中金6億円、国民事業で8,000万円です。
金利は当初3年間 基準金利-0.9%、4年目以降は基準金利となります。
(利下げ限度額:中小事業・商工中金3億円、国民事業6,000万円)
コロナ禍が始まって3年が経とうとしているので、金利が基準金利に戻るという問題もでてきています。
特別利子補給制度
利子補給制度とは、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた後、返済する利子について、中小企業基盤整備機構から利子の分の補給を受けることで、借入した方の負担する利子が実質的に無利子になる制度です。
日本政策金融公庫等の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」により借入を行った個人事業主(事業性のあるフリーランスを含む)等に対して、利子補給を行うことで資金繰り支援を実施しています。
利子補給期間は、借入後当初の3年間。
利子補給対象上限額は、中小事業・商工中金3億円、国民事業6,000万円です。
当初の3年間の利子の返済が実質なくなるというものです。
コロナ禍が始まって3年が経とうとしているので、この利子補給が終わるという問題もでてきています。
社会保険料等の猶予制度
厚生年金保険料等の猶予制度
新型コロナウイルス感染症が広がって事業への悪影響が出始めたころ、厚生年金保険料等の納付猶予特例制度が始まりました。
納付特例猶予制度とは、新型コロナウイルス感染症の影響で事業等収入に相当の減少があった場合に、無担保・延滞金なしで、1年間納付を猶予する仕組みでした。
令和2年1月分から令和2年12月分までの厚生年金保険料等が対象となっています。
これは「免除」ではなく納付を猶予する=遅らせる、という制度になります。
納付猶予特例を受けていた事業主の方など、納付猶予特例終了後も、厚生年金保険料等の納付が困難な場合は、猶予制度を受けられることがあります。
詳しくは会社の住所地を管轄する最寄りの年金事務所へご相談ください
健康保険組合加入の場合は健康保険組合となります。
国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料(税)の減免等
新型コロナウイルス感染症の影響により一定程度収入が下がった方々等に対して、国民健康保険、後期高齢者医療制度及び介護保険の保険料の減免や徴収猶予等が認められる場合があります。
まずはお住まいの市区町村、国民健康保険組合に問い合わせてみましょう。
国民年金保険料免除の特例
今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、収入が減少した方について、国民年金保険料免除が可能となっています。
対象者や内容は以下のとおりです。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年2月以降に収入が減少し、所得が相当程度まで下がった方 |
内容 | 個人が納める国民年金保険料の全部・一部の免除や猶予。 |
申請方法 | 申請書類を市区町村の国民年金担当窓口に提出 |
さきほどの厚生年金保険料の納付の「猶予」とは異なり、国民年金は「免除」の申請が可能です。
ただし、免除の申請をした場合将来の年金額に影響がでてきますので、余裕が出てきたときには「追納」をしたほうがいいです。
国税の納付の猶予制度
新型コロナウイルス感染症の影響により国税を一時に納付することが困難な場合には、税務署に申請することにより、「換価の猶予」が認められることがあります。
また、以下のような個別の事情がある場合には、「納税の猶予」が認められることがあります。
- 災害により財産に相当な損失が生じた場合
- ご本人又はご家族が病気にかかった場合
- 事業を廃止し、又は休止した場合
- 事業に著しい損失を受けた場合
猶予が認められた場合は、
- 原則、1年間猶予が認められる(状況に応じて更に1年間猶予される場合あり)
- 猶予期間中の延滞税が軽減(通常年8.7%→年0.9%:令和4年中の場合)又は免除
- 財産の差押えや換価(売却)が猶予
となります。
国税の猶予に関するご相談等については、所轄の税務署(徴収担当)にお問合せください。
地方税の猶予制度
地方税の納付についても、新型コロナウイルス感染症に納税者やその家族が感染した場合のほか、新型コロナウイルス感染症に関連するなどして以下のようなケースに該当する場合は、猶予制度が認められることがあります。
- 災害により財産に相当な損失が生じた場合
- ご本人又はご家族が病気にかかった場合
- 事業を廃止し、又は休止した場合
- 事業に著しい損失を受けた場合
また、申請をすることによって、「換価の猶予」制度が認められることがあります。
「換価」とは、「財産差し押さえ後お金に換える」と言えばイメージできるでしょうか。
「換価の猶予」って意味が分かるとなんか怖いですね・・・
電気・ガス・電話料金、NHK受信料等の支払猶予等
個人又は企業にかかわらず、新型コロナウイルス感染症の影響により、電気・ガス・電話料金・NHK受信料の支払いに困難な事情がある方に対しては、料金の支払いの猶予や料金未払いによるサービス停止の猶予等について、柔軟な対応を行うことが事業者に要請されています。
事業者も民間ですので、「免除」にはなりません。
水道・下水道及び公営住宅の家賃の支払いが困難な事情がある者に対しても、支払の猶予等、迅速かつ柔軟に対応するよう、事業者へ要請が出されていますので、公共料金の支払いに悩んでいる場合は、まずは窓口に相談してみましょう。
まとめ
新型コロナ禍の生活支援2022
まず利用を検討できるのが、緊急小口資金・総合支援資金でした。
緊急小口資金は比較的審査期間が短く支払いまではスピーディー、総合支援資金は主に失業された方が対象つぃて生活再建までの資金の貸し付けが利用できました。
生活福祉資金の貸付については、特例として「なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる」場合があることもわかりました。
新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金は、就職活動が前提の支援金制度でした。
個人事業主やフリーランスであれば、事業資金として日本政策金融公庫(日本公庫)及び沖縄振興開発金融公庫(沖縄公庫)等による新型コロナウイルス感染症特別貸付等の利用が検討できます。
社会保険料等の猶予制度もまだまだ活用が検討できます。
コロナ禍の影響が長引いていますので、影響はジワジワ広がっています。
個人の生活費の貸付の相談はお住いの市町村に相談窓口がありますので、困ったときはまずは市町村へ問い合わせてみましょう。
事業資金の融資については、各公庫の相談窓口になります。
電気・ガス・水道等公共料金については、各事業者になります。
ネットで調べてみても制度が自分にあてはまるのか個別具体的な回答はなかなか出てきません。
まずは相談窓口へ相談してみましょう。